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キツネのハンカチ

今朝、新聞を読んでいたら、この物語が....。

作 もいち くみこ さん

『キツネのハンカチ』
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山のふもとに、「平井洋裁店」と看板のかかった仕立屋さんがあります。

小さなお店のショーウィンドーのおくからは、カタカタと、古い足ぶみミシンの音がきこえてきます。

ミシンをふんでいるのは、年をとって、少し背中がまるくなった平井さんです。


冬のある日のこと。


朝からふきあれた北風がやんで、空がキーンとすみわたりました。

暗くなると、空いっぱいに星がかがやいて、いまにも光のしずくがおちてきそうでした。

その夜おそく、平井さんが、仕事場で、古いコートの仕立て直しをしていると、お店のドアがなりました。

時計を見ると、もう十時です。
(こんな時間にだれだろう?)

平井さんは、ドアをあけて、ぽかんとしました。
大きなエプロンをしたキツネがたっていたのです。

「夜分おそくすみません。あかりがついていたので、ノックしてしまいました。ちょっとここをなおしていただけませんか?」

キツネは、中に入ってきてエプロンをはずすと、エプロンのまんなかについているポケットを見せました。
キツネのハンカチ_c0327562_1434856.jpg


まわりの糸がほつれて、いまにもとれそうになっています。

「とてもたいせつなものをいれるポケットなんです。とれないようにしっかりぬいつけてください」

それをきくと、平井さんは、あいてがキツネなことをわすれて、ついたずねました。

「たいせつなものって?」


「ハンカチです。 でも、ただのハンカチじゃありません。 お星さまをみがくためのものです」


「なんだって?」

平井さんが、思わず目をまるくすると、キツネは、とくいげに言いました。

「今夜のお星さまは、みごとでしょう。 北風が、空のちりをふきはらったあと、ぼくが、天までとどく脚立にのぼって、きゅっきゅっとみがいたからです。 ぼくは、こう見えても星みがきのマイスターなんですよ」


平井さんは目をまるくしたまま、(キツネの話は、ほんとうだろうか?」と思いました。
そうして、そんなふうに思って自分に苦笑しました。

でも、楽しい話をきかせてくれたキツネのために、エプロンをうけとると、ポケットがエプロンからとれないようにしっかりぬいつけてあげました。

すると、キツネは、帰るとき、お礼に、まっ白でよい香りのする花びらのようなハンカチをくれました。

「これ、お星さまをみがくときにつかうものとおなじです。 これで、たいせつなものをみがいてください」



つぎの日、平井さんはキツネからもらったハンカチで、古い足ぶみミシンをみがいていました。

ミシンは、昔にもどったようにぴかぴかになりました。

夜になって、カーテンのすきまから月の光が入ってくると、星のようにかがやいたのでした。






絵:かさい まり さん






なんかいいと思ったので、ご紹介させていただきました。


僕も息子に読みきかせしてあげたいなと思います。








by mokusiro | 2014-12-28 14:33 | 雑記
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